實相寺「日供講(にっくこう)」について

「古くて新しいお寺とのつきあい方」
 實相寺の日供講にっくこう

日供にっくとは神仏に毎日お供えすること。また、その供物のことをいいます。
實相寺日供講じっそうじにっくこう(以下、「日供講にっくこう」)」は従来の檀家制度にこだわらない、新しい相互扶助の会として2021年に発足しました。
一日百円、毎月三千円のご志納をご本尊様にお供えして頂ければ、どなたでも会員となることができます。

趣旨(皆さまの安心のために)

お寺は世の中の人びとにお釈迦さまの教えを伝えるために存在し、住職はそのために活動しています。後世に仏教を伝えていく役割もありますが、お寺本来の目的は社会の安心に寄与することです。
日供講にっくこう」は、これまで仏教やお寺にあまり関心のなかった方でも、気軽に入退会ができる新しい会員制度として発足しました。仏門を叩くというと少し大げさですが、實相寺はかねてより広く門戸を開いたお寺のあり方を心がけてきました。その新しい形のひとつが「日供講にっくこう」です。

「ひとのしょうを うくるはかたく
やがて死すべきものの いま生命いのちあるはありがたし」

と『法句経ほっくきょう』にも説かれるように、人生には限りがあります。
實相寺では、皆さまの日々の生活が健やかであることを願っていますが、その実現には具体的な悩みの解決とともに、限りある人生を支える心のより所が必要だと考えます。
日供講にっくこう」は、仏様とのご縁を気軽に結んで頂くことで将来への不安を解消し、皆さまに少しでも安心して頂くための集いです。お寺でお役に立てることがあれば、何なりとご相談下さい。そのご縁を結んで頂く契機となるのが一日百円の御賽銭です。
またお釈迦さまは、一人一人がいかにかけがえのない存在であるかを説かれています。ご縁を頂いた皆さまのご葬儀やご供養については、お一人お一人のご事情やご要望に応じて、きめ細やかな対応をさせて頂きます。

實相寺日供講じっそうじにっくこう」の内容について

  • 入会金 : 不要
  • 会費(日供にっく志納金):月額三千円(一日百円として)
  • 志納方法:全国の銀行・信用金庫・協同組合などの口座からの自動引き落とし。
  • 会員特典:
  1. 会員本人、もしくは会員が喪主となる葬儀や法要のお布施は、
    ご都合に応じた無理のない範囲で結構です。 (例えば、葬儀のお布施 10万円など)
  2. 会員本人、もしくは会員が喪主となる葬儀や法要の際、實相寺を無料で利用できます。
  3. 会員は實相寺花園会正会員として臨済宗妙心寺派の会員名簿に登録されます。
    (本山への登録を希望されない方は準会員も選べます)
  4. 妙心寺派発行の『花園』誌と、實相寺発行の「實相寺花園会報」が毎月届きます。
  5. 實相寺が主催する坐禅会等、催しに無料で参加できます。(ZOOM参加も可能)
  6. 十年以上、連続して継続された会員は、實相寺「無縫塔」へ無料で納骨することが出来ます。
  • 会員になるには:
  1. 原則として入会はご本人の申し出によります。
  2. 香川県外に在住の方でも入会できます。
  3. その他詳細はお気軽にお問い合わせ下さい。contact@jissouji.net
  4. よくある質問もご参考ください。
  5. 皆様から寄せられたご浄財は、全て實相寺の持続可能な運営のために使わせて頂きます。

「お寺がすべきこと、お寺に出来ること」

實相寺

お寺は仏教を学ぶ道場であります。儀式法要を執り行う場所でもありますが、そもそもは悩める人びとの心のより所でした。
とはいえ現代では病気の治療は病院にお願いし、介護や福祉が必要な場合もそれぞれ専門職のお世話になります。お寺がさまざまな支援を直接行うことはできません。ただ医療従事者や福祉事業者だけでは解決できない問題もあります。それは人の臨終に関わる場合です。ご本人の将来への悩みのみならず、ご遺族の悲嘆ケアも含め、實相寺ではさまざまな対人支援職の方々と協力しながら、皆様のお役に立ちたいと考えています。
生きとし生けるものは必ず老い、病になり、やがて死を迎えるというのは、お釈迦様も説かれた自然の摂理です。誰しもそこから逃れることはできません。
であるからこそ将来の不安は少しでも軽くして、今この時を精一杯に生きて頂きたいというのが實相寺住職の願いでもあります。

「おかげさま、おたがいさま」

お寺の財政基盤が葬儀や法要のお布施になったのは、一体いつの頃からでしょうか。少なくとも戦後間もない頃までは、一般のご葬儀やご法事に現在ほどの費用はかからなかったはずです。農地解放や産業構造の変化に加え、高度経済成長やバブル景気などを経て、次第にお布施の金額も高くなっていった気がします。
しかし葬儀や法要に費用がかかりすぎるために寺離れが起きているのだとしたら本末転倒です。

お寺の存在目的はお金儲けではありません。またお寺の存続もそれ自体が本来の目的ではありません。お寺はお釈迦様の教えを伝えるために護られてきたのです。
今、日本のお寺の将来が危ぶまれていますが、それはお寺のあり方が本来の姿とはかけ離れてきてしまったからなのかも知れません。
日供講にっくこう」は現代のお寺を次代に伝えるための新しいひとつの試みです。
日供講にっくこう自体は近世・江戸時代からある寺社を護持する結社ですが、實相寺では日供講にっくこう会員の方々に普段から少しずつお寺の運営に協力して頂く代わりに、葬儀や法要での経済的な負担を軽減します。また個人の生き方や家族のあり方等、社会的な変化に伴う将来の不安を、少しでも解消するお手伝いをして参ります。
そうしたことを通じて、皆さまが具体的な安心を得ることが、仏教的な安心あんじんを得る契機になると信じているからです。

令和20年(2038)實相寺は「開基 秋月院殿香林淸感禅尼しゅうげついんでんこうりんせいかんぜんに」の400年遠諱を迎えます。「全ての存在は他者と支えあっている」というお釈迦様の教えに従い、「おかげさま、おたがいさま」の精神で400年遠諱を無事円上出来るように、住職もしっかりと自らの務めを果たしていきたいと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

實相寺二十世 閑岳文匡拝